どうもこんばんは。
先日まで台湾ではユニバーシアード大会が行われていました。
特に目立った日本勢の大活躍
女子10000mの細田あい選手の銅メダルに始まり
ハーフマラソンで男子1、2、3、6、とメダル独占、女子の1、3、4,5位と2つのメダルを獲得。さらに男女とも団体で金メダル獲得、ハーフマラソンだけで7つのメダルを獲得しました
また、先日のロンドン世界陸上でもメダルを獲得した種目である競歩でも日本のお家芸を見せてくれました。
男子20㎞競歩では山西選手が金メダル、及川選手が銅メダルを獲得しました。
女子やり投げでは日本歴代2位の62m37をマークした国士舘大学の斎藤真理菜選手が銀メダル獲得
さらには、私としてもうれしい、順天堂大学の塩尻和也が10000mにおいて銅メダル
同じく、山本凌雅が三段跳びで16m80で銅メダルを獲得
さらに最終4×100mリレーにおいて女子銅メダル
男子はなんと金メダル獲得
と、素晴らしい結果で幕を閉じました。
大会公式ホームページはコチラ↓
ここまでくると日本の世界との壁もようやく近づいたのかな。と思いますが
ユニバーシアードに力を入れていない国、アメリカ、ジャマイカ、ケニヤなどの陸上大国であることから、なかなかここだけで判断するのは難しそうです。。
しかし連日100mの9秒台に注目がされている日本の未来はそう、暗くはないかもしれないですね。
しかし、まだまだ世界との差は歴然。。。
どう埋めていくか、を陸上に携わる人が本気だして考えていく必要がありますね。。。
特に投てき種目なんかは
世界記録と日本記録に大きな差があります
のでここで整理しますと
砲丸投(7.26kg)
世界記録23m12 日本記録18m78
円盤投(2.00kg)
世界記録74m08 日本記録60m54
ハンマー投(7.26kg)
世界記録86m74 日本記録84m86(世界歴代4位)※参考 日本歴代2位75m96
やり投(800g)
世界記録98m48 日本記録87m60
となっています
ハンマー投は言わずと知れた室伏広治選手の記録が世界でも戦える記録ではありますが、その下を見てみると、日本歴代2位の選手は10m及ばない記録になっています
そう考えるとまだまだ世界との差を感じる種目ですが
やり投は、世界と戦える種目といわれています
2009年のベルリン世界陸上でやり投は3位に入賞し、やり投げならば日本人も戦えるという自信がついてきました。
さらに、今ユニバーシアードで優勝したのはなんと
台湾の鄭兆村選手の91m36(アジア新)
驚異的な記録です
これでアジア人でも世界と戦える種目であることが証明された。
そんなことを多くの人が思うのではないでしょうか。
しかし、だからこそ、今
それが思い込みで終わらぬうちに
日本記録の更新や、90mオーバーを
速いうちに達成しなければいけないのではないかと
私は、思います。
やり投の歴史と現状から見る考察
※ここからは事実に基づいたデータと私の主観の話になりますのでご了承ください
①現状
現在、世界的にやり投で90mを超える投てきをしているのは18人
その18人が90mオーバーを85回投げているというのが現状です
ちなみに日本記録保持者の溝口さんは世界歴代42位という結果です
②歴史
ここで少しやり投げの歴史の話をしたいと思います。
皆さんは今の
男子やり投の記録はいつから集計されているかご存知でしょうか?
答えは
1986年
です
あれ、そんな新しい種目ではないよね
と思うかもしれません
それ以前やり投はやっていなかったのか?
といわれるとそうではありません
実は、現在行われているやり投は皆さんが知るように昔からある種目の一つではあります。
しかしながら1984年
東ドイツのウベ・ホーンという選手が
104m80
という驚異的な世界記録を打ち立てたことにより
競技場内の設計を考え、槍自体の設計を飛ばしにくいものにした。
という経緯があります。
③技術の進歩
前述したとおり、やり投の歴史を紐解くと、技術的な変化にも行きつくことになるかもしれません。
ウベ・ホーン選手も規格が変わったことにより、その槍に合った技術が見つけられないまま引退したそうです。
規格が変わって30年様々な進歩を経て現在の技術になってきたという話です。
なので今のやり投は1986年、実に30年間しか記録がたまっていない。ということになります。
論文等で、昔の動作分析の資料を見つけることができていないので
ここで技術的な変化についてお話しすることはできませんが
物の重心位置が変われば少なからず動作に影響を及ぼすと考えられるため
昔と今では少し技術も違うのではないかという見解です。
ちなみに男子の円盤投、ハンマー投の世界記録は1986年から更新されていません。。
女子の世界記録についてもそれ以前から更新されていない種目が多々ありますが。。。
さて、世界的なやり投事情としては以上の通りです
④日本におけるやり投
今度は日本のやり投について知っていきたいと思います。
日本においてやり投の最高記録保持者は溝口和洋選手の87m60(1989年)
これは当時の驚異的なアジア新記録でありました
現在、日本のやり投は非常に目覚ましく発展を遂げています。
2009年の銅メダルしかり、2010年世界ジュニアでは銀メダルを獲得
と投てき種目、唯一といっていいほど世界と戦えています。
軽いものを動かす能力に長けているとか、スピードを生かす種目だから、とか日本には野球が浸透しているから。とか様々な見解が出てきています。
まさにその通りなのではないかとも思います。
日本人の勤勉さ、日本人のスキルに対する考え方が積もりに積もって
ようやくこのような結果に結びついたのかもしれません
しかし現状日本で80mを超えている選手は多くありません(6名)
さらに1989年の日本記録は今もそのままです
ここからは、私のやり投げについての現段階の考えなので今後どうなるかわかりませんが備忘録的にも述べていきます
⑤弊害に感じること
まず私が、日本の弊害として挙げるのが
野球投げや日本独自のスキルの取り組み、
良かれと思って昔経験した投げる動作を応用して投げる、等
これらの行為は様々な弊害をもたらしている恐れがあります。
世界的にどうかわかりませんが日本人は肘を痛める選手が多い気がします。
つまり投げ方に不合理な動作が行われているのではないかと思います。
(私の考えでは最後の肘の巻き込み不足=肘が先行する投げ)
ブロック動作で運動連鎖が起きていない(+起こし回転のエネルギー不足)
軽い種目であることからパワーだけで振り切ってしまう
と、
様々なロスモーションが、見受けられるのではないでしょうか。
(特にやり投げを始めたばかりの選手、混成選手は顕著)
何よりも一番まずいのはパワーで押し切ってしまうパターン
これは投てき種目全般に言えることで、特に投てき物が重くなればなるほど
大きいエネルギーを生成できるポジションにいなければならないはずなのに
どうしても腕や地面からの反発ばかりに目が行ってしまう
一番効率よく力を生成して、伝え続けることが大事なのではないかと思います
⑥ドイツで学んだこと
これに私が気づかされたのは今年2月ドイツに留学したときです
ドイツのコーチにトレーニングを師事していただいた際に
投てきにおいてブロックの大切さと軸で回転することの偉大さを
肌で感じました。
ドイツはやり投で今年の世界ランキング1,2,4,5位と
言わずと知れた投てき大国です。
その国で教わったことと、日本で私が知った、聞いた、調べたこと
の差異があったのです!!
これらのことを踏まえて
私は、少し、日本人がやり投げにおいてアプローチする視点を変えるだけで世界で本当に戦える種目になるのではないかと思います。
前述したとおり、日本において野球というメジャースポーツから転向してきてやり投で成功する選手が多いように、野球などのボールを投げる動作の早期獲得ができている日本は本当に世界と戦えると考えています。
そして、日本人の勤勉さ、動作の習得に対するプロセスの踏み方、様々な体力トレーニング、そして今まで行っている、やり投に関するトレーニング
これらがあってこその今です。
そこにプラスして、世界の選手が伸びてきた原因を探っていくことで
もしかすると世界で1番が取れる種目になるかもしれないな
と妄想を勝手に膨らませております
また、混成選手でも体力要素の高まった選手なら、肘を痛めることなく記録をどんどん伸ばすことができると考えております。
現在、世界では90mを超える選手がここ何年かで増えています。
いつか世界的には90mを超えるのが当たり前な時代が来るのではないかと
予期しています
そうなる前に日本でも90mを超える選手が出てくるとかなり面白いのではないかと思います。
期待できる選手は??
先ほどからずっと主観ではありますが
ここからも主観的に期待している選手を紹介したいと思います。
まず、今年のロンドン世界陸上に出場した新井涼平選手(スズキ浜松AC)が最もそれに近いと思います。
名門国士館大学にてトレーニングされており、日本歴代2位の86m83を持っております
海外でのトレーニングもしているそうで、今後目が離せない選手であります
その他には、同じ国士舘大学の学生ユニバーシアードに出場した小南拓人という選手がいます
79m17という記録を持っており、学生歴代3位の記録を持っております
さらには世界ジュニア銀メダリストのディーン元気(MIZUNO)は自己記録84m28
最後に
東海大学 佐道隼矢
中京大学 石山歩
日本大学 小椋健司
といった学生70m後半を投げてきています
これらの選手が今後世界で戦うために
スキル的な部分と体力的な部分の双方を海外に引けを取らない速度で上げていけば、私は、世界でメダルを取ったり複数決勝進出ができるのではないでしょうか
また、混成競技で投てきを得意とできる選手が出てきたら、混成競技でも世界と戦える選手が出てくるかもしれません
今後も日本は短距離、競歩のみならず、投てき、混成競技に注目が集まるよう、私もサポートしたいと思います。
以上
ユニバーシアードの感想から、やり投についてでした